旗の台駅(はたのだいえき)は、東京都品川区旗の台二丁目にある東急電鉄の駅ですが、2019年7月にリニューアルが竣工しました。
今回は、そんな旗の台駅の「木になるリニューアル」について、紹介していきます。
旗の台駅の「木になるリニューアル」の具体的な内容とは?
「木になるリニューアル」は、老朽化した駅ホームの屋根を木造に造り替えるものです。
待合室なども木造に改修し、鉄骨造でリニューアルをする場合に比べ約300トンの二酸化炭素削減に寄与することになります。
そして、木材に関しては、東京都多摩地区で生産される「多摩産材」が使用されています。
さらに、ホーム屋根の建て替えには東京都内の鉄道施設としては初めてとなるCLT(Cross Laminated Timber)と呼ばれる直交集成板を採用しているのが特徴です。
CLTは、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着したパネルで、欧米を中心にマンションや商業施設などの壁や床として普及しているものです。
この木材を使用することにより、断熱遮音のみならず木材資源の循環利用が促進されます。
そんな東京都多摩地区産の木材を使った「木になるリニューアル」の第1段は、2016年12月に竣工した「戸越銀座駅」であり、見事グッドデザイン賞などを受賞しています。
旗の台駅は戸越銀座駅に次ぐ、第2弾の「木になるリニューアル」駅です。
旗の台駅の「木になるリニューアル」は木製ベンチが心地いい
「木になるリニューアル」だけではなく、旗の台駅では「みんなのえきもくプロジェクト」の一環として、下り線ホームの長い木製ベンチが復元されています。
「みんなのえきもくプロジェクト」はただの復元ではなく、「駅の古材」である俗称「えきもく」を使用していることに大きな意義があります。
「えきもく」からベンチをリデザインすることで、環境に配慮するだけではなく、駅の利用者や地域の方とともに育んできた歴史ある木造駅の記憶を、未来に継承する意味合いをもつのです。
「みんなのえきもくプロジェクト」の第1段は2018年6月で、池上駅の古材を使って椅子を制作するワークショップが開催されましたが、現在は第3弾までおこなわれています。
そして、旗の台駅の木製ベンチも、使い込まれてニスが剥がれ老朽化が進んでいましたが、このプロジェクトによって駅舎のリニューアルとともにリデザインされることになりました。
現在の旗の台駅では、リデザインされて生まれ変わったベンチに座ることができます。
東急電鉄が推進している「木になるリニューアル」、そして「みんなのえきもくプロジェクト」は、木造へのリニューアルではありますが、退化ではなくさまざまな面で進化といえます。
旗の台駅にお立ち寄りの際は、新しく作り上げられた木造の駅舎と「えきもく」のベンチをチェックしてみてください。